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微商とは(4)

2019/3/15 金曜日

東興商会の松浦です。今日は前回「微商とは(3)」の続きです。

皆さんは「微商」という言葉を目にした時に2通りの解釈が存在するのをご存知でしょうか。

ひとつは「WeChat(微信)の中で商取引をする『微商』」そしてもうひとつは「小さな規模の商取引(マイクロビジネス)という意味での『微商』」ですね。この解釈については日本も中国も同じように混在しているようです。

僕が今まで書いてきた微商は勿論前者の微商となります。では、後者の微商はどのように説明をすれば良いのか。

前回お話ししたように、運用目的において微商は日本の独自ドメインサイトと類似する部分が多い仕組みです。中でも弊社がご紹介している公式微商はテンセントの正規サービスであるサービスアカウントと呼ばれる企業の公式アカウントのオプションサービスとなり、その傾向は更に強くなります。

このサービスアカウントは自社製品やブランドのファンを様々な施策を用いて集客しフォロワー登録をしてもらいます。所謂会員登録と同じようなものでファン層を囲い込んでいく形ですね。

企業はフォロワー全員に対して月に4回までプッシュ通知を送ることができます。フォロワー側からしてみれば好きなメーカー(ブランド)の最新情報を優先的に得ることができる訳で、ファンになっている企業のアカウントはお気に入り登録をしていち早く情報を得ようとしますし、欲しいと思える商品があればその場で購入することができます。

日本国内ではまだ殆どその存在を知られていない微商ではありますが、中国ではこの微商の仕組みで成功を収めている企業が沢山います。しかし、あくまで企業単位の話なので、どんなに成功したと言っても1企業で抱えられるフォロワー数や売上は高が知れています(彼らがそう考えているだけで日本人から見た場合の規模感は全く違う訳ですが)。数億人規模の会員を擁して数十兆円の年商を売り上げるアリババの天猫や淘宝、京東といった大手ECモールと企業単位で比較した場合には、とても小さな規模の商取引、文字通りマイクロビジネス(微商)となってしまうことは否定できません。

それでも現在、中国の市場において微商を活用して直接ユーザーと繋がり商品を販売する企業は増え続けており、数年後にはこの微商が中国の民間経済を支える柱の1つになるだろうと言われています。僕自身も同じように考えていて、その辺りの根拠については自社の事業説明会やセミナーなどでお話しさせていただいている通りです。

1社あたりの事業規模が大きくなくとも、プラットフォームとしてそれらを束ねていったときに、いつか大手ECモールに匹敵する巨大市場を形成できる。個人的な私見ですが僕はテンセントがそういう戦略で動いていて、そして実現しつつあると考えています。(テンセントの別の正規サービスであるミニプログラムも通販部分に関してはある意味微商のひとつだと言えるでしょう)

実際、微商の市場はスタートしてからその市場規模を急成長させています。30年近くかけて成長してきた日本国内の小売り(toC)EC市場は僅か5年足らずで微商市場に追い越されているのですが、殆どの日本企業はその事実どころか微商という存在すら知らない、というのが実情です。

勿論、中国国内における新興市場である微商の市場その全てが日本企業のビジネス対象になる訳ではありません。でも、現代中国の中には日本に旅行に来たり日本の商品を欲しいと思ってくれる、所謂「日本ファン」や「日本製品のファン」が少なからずいると思いませんか?これを読んでいる方それぞれの頭の中に思い浮かんだ「日本製品ファン」が〇%いるとして、それを微商の市場規模(以前の投稿に書いてあります)に掛けあわせることで大まかではありますが日本製品の販売先としての潜在的な市場規模が想像できるのではないでしょうか。

また、今年に入ってから微商は日本から中国向けの新しい販売方法として注目されるようになってきました。と言うのも、去年まで「うちは国内売上だけで十分やっていける」とか「既存のインバウンド需要があるからうちは新規取引はしないよ」と言っていた企業さんの中で、売上見込みが今年に入ってから激減した企業さんが増えてきているからです。理由は今年1月1日から中国国内で施行された「電子商取引法(電子商務法)」。中国の法律がどうして国内企業の売上に影響するの?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はとても強い関連性があるんですね。

表向き「うちは中国国内に向けて直接販売しなくても問題ない」と言っていた企業さんも、「表向き」中国市場に直接販売していないだけで実質的にはその売上構成を中国市場に大きく依存しているケースは少なくありません。

例えば「転売屋」の人々。彼らは個人で町中の路面店を回って商品を買い集めます。商品は日本国内で彼らを取りまとめているボスの下に集められ、中国国内に送られて百貨店などの正規ルートで販売されている商品よりも割安な価格でネット上で販売される訳です。大きい組織になると卸問屋さんや大手小売店からそれこそコンテナ規模の商品を購入して中国向けに発送していきます。この商流を「国内取引」と考えていた企業さんが思いのほか沢山いたんですね。そして「バイヤー」と呼ばれる人々。彼らは個人的に中国国内に顧客となる数千人規模の友人網を作り上げていて、SNSなどで商品情報を発信することで販売しています。中には動画やライブコマースを活用した中国でKOLと呼ばれるインフルエンサーに近い人もいたり、同じジャンルの商品販売が得意な人々が集まったSNSグループもあったりして、購入するのは個人レベルながらその影響力は決して小さくなく彼らの販売力はとても大きいです。

今年頭から電子商取引法が施行されたことによって、BtoBやBtoCではなくCtoCで中国向けに越境販売していた中国人バイヤーや転売屋が、自身への罰則(懲役や罰金)適用を恐れてその商業活動を止めてしまった訳です。更に中国向けにEMSで発送された商品の中国税関での開封率が上がり返送率が以前よりも増えていることなどもあって、「代理購入」や「転売」をしていた中国人事業者が買い控えをしたり、商売自体を辞めてしまう(転業してしまう)ケースも増えているので、今まで日本企業の「表向き」国内売上のそれなりの比率を支えていた彼ら分の売上が宙に浮いてしまったことで、その部分の売上見込みが狂ってしまった。簡単に言えばそういう感じですね。

それ以外にも訪日観光客向け販売によるインバウンド売上も観光客数は年々増えているものの「モノ消費からコト消費へ」の流れもって伸び悩んでいることもあり、決して順調とは言えません。そうした諸々の要因を鑑みて新しい販路を模索している企業さんが、中国向けに販路を開拓することができる微商という新興市場、中でも公式微商の存在に気付きはじめて、我々にお問い合わせいただく件数も増えているというのが現状です。当社が正規代理店である公式微商日本総代理店のJC Connect 株式会社が開催している公式微商ShopCNのセミナーも毎回満席の状態が続いているそうです。当社も日本の中小規模の企業さんが海外に商品を販売する「はじめの一歩」を踏み出すためのサポート企業として、全力で微商の認知UPに勤しんでいきたいと考えております。

微商については一端ここで終わりにして(新しいネタを思いついたらまた書きますが)、次回からは別のネタについて話をしていこうと考えています。